問い合わせが来ないのではなく、メールが届いていないだけかもしれません
ホームページの問い合わせフォームを置いているのに、何か月も反応がない。そんなときは、たいてい「見てもらえていない」ほうを疑います。
ただ、もう1つの可能性があります。送信は成功していて、こちらに届いていないだけというケースです。
これは思ったより多く、しかも気づきにくいものです。お客様は送ったつもりで待ち、こちらは何も来ていないと思っている。両方が相手の反応を待っている状態になります。
今回は、その確認のしかたと、直し方の順番を整理します。作業自体は難しくありません。順番を間違えないことのほうが大事です。
まず、自分宛てに送ってみます
最初にやることは1つだけです。お客様と同じように、フォームから自分に送ってみること。
このとき、いつも使っているパソコンからだけでなく、スマートフォンからも送ってみてください。入力欄がうまく動かない、送信ボタンが反応しない、といった別の問題が見つかることがあります。
そして、通知が届くはずのメールアドレスを開きます。受信トレイに見当たらなければ、迷惑メールフォルダを必ず確認してください。ここまでで原因が分かることが半分くらいあります。
送信したのにどこにも見当たらない場合は、フォームの設定そのものか、メールの送り方に原因があります。
迷惑メールに入っているだけのことがあります
いちばん多いのがこれです。フォームからの通知は機械が送るメールなので、受信側から見ると人が書いたメールと区別がつきにくく、まとめて弾かれやすい性質があります。
迷惑メールフォルダで見つかったら、その場で「迷惑メールではない」を選んで受信トレイに戻します。同時に、送信元のアドレスを連絡先に登録しておくと、次から入りにくくなります。
ただし、これは自分の受信箱を直しただけです。根本の原因は送る側に残っています。スタッフが別のアドレスで受け取っている場合、その人のところではまた迷惑メールに入ります。
次の章が、その根本のほうの話です。
「なりすまし」に見えていることがあります
ここが分かりにくいところなので、順を追って説明します。
問い合わせフォームの通知メールを作るとき、送信者の欄に、問い合わせをした人のメールアドレスを入れる設定にしていることがあります。返信しやすいので、一見よさそうに思えます。
ところが受信側から見ると、これは「よその会社のアドレスを名乗ったメールが、まったく別のサーバーから届いた」という形になります。なりすましの典型的な形と同じです。
Googleが公開しているメール送信者のガイドラインでは、すべての送信者に対して、From ヘッダーのなりすましをしないことが挙げられています。ここに引っかかっていると、届かなくても仕方がありません。
なお、同じガイドラインには1日5,000件以上を送る場合の厳しい要件も書かれていますが、こちらは中小企業の問い合わせフォームには関係ありません。気にするのは「すべての送信者」の部分だけで足ります。
送信元をそろえて、返信先だけ分けます
直し方はシンプルです。送信者の欄は、自社のドメインのアドレスにします。ホームページと同じドメインのメールアドレスです。
そのうえで、返信先(Reply-To)に、問い合わせをした人のアドレスを入れます。こうしておけば、届いたメールでそのまま返信ボタンを押せば、お客様に返ります。便利さは失われません。
この設定は、多くの問い合わせフォームの管理画面で変更できます。項目の名前は「送信元」「差出人」「From」「Reply-To」などです。
Googleのメール送信者のガイドライン(すべての送信者に適用される部分)
・送信元ドメインに SPF または DKIM のメール認証を設定する
・送信元のドメインまたはIPに、有効なフォワードおよびリバースDNSレコードがある
・TLS接続でメールを送信する
・迷惑メール率を0.3%未満に維持する
・From ヘッダーのなりすましをしない
SPFとDKIMは、名乗りと署名です
先ほどの一覧に出てきた言葉を、かみ砕いておきます。
SPFは、「このドメインのメールは、このサーバーから出ます」という申告です。ドメインの設定に書いておくと、受信側が照合できます。差出人の住所が本当にその住所かを確認するようなものです。
DKIMは、メールに付ける電子的な署名です。途中で中身が書き換えられていないこと、名乗っているドメインから出たことを確かめられます。封筒の封印に近い働きをします。
どちらも、ドメインを管理しているところの設定画面で追加します。ホームページを作った会社か、ドメインを取った会社に頼む作業です。自社でサーバーを触っていないなら、依頼で済みます。
ここで問題になるのが、そのドメインを誰が管理しているか分からない場合です。名義や管理先が分からなくなっているときの整理のしかたは、制作会社と連絡が取れなくなったら、ホームページはどうなりますかで書きました。
フォームから送らず、メールサーバーから送る方法もあります
もう1つ、根の深い原因があります。ホームページを置いているサーバーが、そのままメールを送り出しているという形です。
この送り方は設定が簡単なぶん、送信元として信用されにくいことがあります。共用のサーバーだと、同じサーバーにいる別の誰かの影響を受けることもあります。
対処としては、自社のメールアドレスのメールサーバーを経由して送る設定に変えます。管理画面で、サーバー名、ユーザー名、パスワードを登録する形が一般的です。普段メールを送っている経路と同じ道を通す、と考えると分かりやすいと思います。
設定項目はフォームの種類によって違いますので、ここは制作した会社に「メールサーバー経由で送るように変えてほしい」と伝えるのが早いです。
届いた件数を控えておくと、次に気づけます
直したあとに、もう1つだけやっておくことがあります。フォームから送られた内容を、メール以外の場所にも残しておくことです。
多くのフォームには、送信された内容を管理画面に保存する機能があります。これを有効にしておくと、メールが届かなくなっても、あとから気づけます。
そのうえで、月に1回だけ管理画面を開いて、保存された件数と、実際に届いたメールの数が合っているかを見てください。ずれていたら、また同じことが起きています。
問い合わせが来ない理由には、そもそも見られていない、内容が伝わっていない、といった別の話もあります。そちらはホームページを作ったのに問い合わせが来ないで整理していますので、届く状態を作ったあとに読んでみてください。
今日やることの順番
1. フォームから自分宛てに送ってみる(パソコンとスマートフォンの両方)
2. 受信トレイと迷惑メールフォルダの両方を見る
3. 送信者の欄を自社ドメインのアドレスに変え、返信先に問い合わせた人のアドレスを入れる
4. SPFとDKIMの設定をドメインの管理先に依頼する
5. 送信内容を管理画面にも保存する設定にする
3から5は制作会社への依頼で済む作業です。この5行をそのまま送れば伝わります。
まとめ
問い合わせが来ないとき、原因を集客だけに求めると、直らないまま費用だけが増えていきます。
まずは届く状態になっているかを確かめる。ここを飛ばして広告を出しても、来た問い合わせがまた消えるだけです。
確認は自分宛てに1通送るだけ、直す作業も設定の変更で終わります。費用をかけずにできる部分が、いちばん大きな取りこぼしを防ぎます。
設定の画面を開いてみて、どこを触ればいいか分からなかったら、その画面のまま聞いてください。むらたすでは、ホームページとメールまわりの困りごとを、一緒に画面を見ながら整理しています。
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